海底送水管(北木島~小飛島間)
水道水の安定供給を通じて離島の暮らしを支える。
[海底送水管(北木島~小飛島間)布設替工事]
岡山県南西部、瀬戸内海に浮かぶ笠岡諸島。大小31の島々が点在し、有人7島には約27,000人が暮らしています。離島において、安定した生活用水の確保は容易ではありません。笠岡諸島では昭和50年代に整備した海底送水管で本島から水道水が供給されていますが、整備から40年が経過し老朽化が課題となっていました。
本工事は、北木島から小飛島をつなぐ約4.7㎞の海底送水管の布設替えおよび北木島・小飛島における陸上配管の更新を行うものでした。海域部の工事では、布設ルート上で交差する既設埋設管および電力ケーブルの位置・深さの確認、海底の異物撤去など綿密な準備が求められました。海底送水管は波付鋼管がい装ポリエチレン管(φ100、全長4,743m)を採用。継ぎ目がない一本物の送水管を布設台船に搭載した大型ドラムで巻き取って現場海域まで運搬し、水深や海底の土質状況に応じて4種類(①ダイバーによる人力埋設②自動埋設機による埋設③グラブ浚渫・埋戻し④バックホウ掘削・埋戻し)の工法を使い分け、段階的に送水管を布設しました。
[Keyword: 海底送水管]
四方を海で囲まれた離島で暮らす住民にとって、水道を安定的に供給する海底送水管は生活に欠かせないライフラインです。しかし、その多くが高度成長期に整備されており、老朽化が課題となっています。送水管の更新には多額の費用が必要なため、厚生労働省は令和3年度に交付金制度を創設。笠岡市はこの制度対象に採択され、布設替えに着手することとなりました。
種別 | 上水 |
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発注者 | 笠岡市 |
施工場所 | 岡山県笠岡市 |
工事概要 | 海底配管 |
竣工 | 2023年3月 |
担当者より

培った経験を活かして新境地に挑戦。
今回の工事で最も懸念したのは天候です。長さ4.7㎞の送水管は一本物だったため、布設台船での作業期間は常時その海域に留まる必要がありました。万が一、悪天候で台船を岸壁に退避させることになれば、送水管を切断しなければなりませんでした。
現場代理人として心がけていることは、慎重によく考えた上で判断し、平常心で工事を遂行していくことです。無事に完成した時はものづくりの難しさを再認識しながらも大きな達成感を得ることができます。これまで携わった現場はどれも忘れがたいものですが、今回の現場も私にとっては新境地への挑戦であり、大変だった出来事も感慨深く記憶に残り続けるでしょう。この経験を糧として今後も頑張っていきたいと思います。
エンジニアリング事業部 岡